2010/11/24
2010/11/23
Nikon NewFM2
約15年前に新品で買ったNewFM2です。ついているのは35mm/f1.4、隣にあるのは50mm/f1.4。今では高くてそうそう買えない銘玉です。
生まれて初めて自分で一眼レフを買ったのは、中古のCanon AE-1/Pでした。それはAEと言ってもシャッター優先のみで、当時AEと言えば絞り優先となりつつあった頃たっだので、そうなのかぁ、じゃあ使いづらいなぁと思い、ステップアップのためにAE-1/Pを売却しNikon F4を買ったのでした。
ニコンの一眼で当時最高峰だったF4は、プロユースのために作られたものであり、報道、極地取材などありとあらゆる極限環境でも確実に動作し、多少の衝撃では壊れないという戦車みたいなカメラです。確かに丈夫だったですけど、重い。単焦点一本でいってもボディー自体が重いので、構えることが苦痛になってきます。フラッグシップ機を使っているという優越感でお釣りがくるほど期待したものが撮れなかったこともあり、AFにも楽しさを感じられなかったため、またF4は売却し、このNewFM2を買いました(この両極端さはどうか)。
シルバーボディのカメラはガラスなど反射する被写体を撮影する時は写りこむ事があるため、黒ボディの方がいいというのは昔良く言われたことです。でもやっぱり軍艦部が渋く輝くこのシルバーボディの方がカメラっぽいよなと思ったのでこちらにしました。買ってしばらくは、やっぱり黒が良かったなぁと後悔もしましたけれど。
このFM2で、とにかく撮りまくりました。主に撮ったのはモノクローム。荒木経惟氏に憧れ、街・日常・心象風景をテーマに毎日36枚撮りを何本も撮り、現像代もばかにならなくなったので自家現像とプリントもやりました。一日撮っては家へ帰って現像し、ベタ焼きしてはチェックしたコマを深夜納得いくまでプリントする、そんな毎日を繰り返し。
こんな事が出来たのも、前の会社を辞めてしばらくブラブラしていたからです。貯金が底を突く前に何かひとつ写真でものにしたかったという思いもあって、荒木氏を真似て自家プリントで写真集を作りました。いわゆる集大成です。それが出来た時は一切人に見せるつもりはなかったんですが、やはり誰かに認めてもらいたいという思いもあり、出版制作会社に就職面接を受けに行く時に自分の作品としてそれを持って行きました。
そこで言われたひとこと。
「アラーキーみたいな写真ですね」
この瞬間、もう写真は止めようと思いました。別に嫌だったわけじゃありません。むしろ嬉しかったくらいです。模倣に始まり、氏の書き物を読み漁り、写真展に来場していたご本人に会いに行き(確か握手していただいたはず)、次第にのめり込んでいった末に、これでもかと言うほど撮りまくり、シャッターを押した瞬間の感情が印画紙に見えるまで焼き続ける、その作業の果てに自分が壊れていく気がしてしまったんです。氏に似ていると言われたことで自分の中に区切りをつけ、もうこんな写真はやらないと決心し現像機材など全て売り払って普通のサラリーマンに戻ってしまいました。
それでもカメラは手放さなかったんですが、ジュラルミンケースに封印。それからフィルムカメラは衰退し、デジタルカメラにとって変わられ、私もデジカメしか使わなくなってしまいました。
あれから15年、色々な意味で、もう一度このカメラを手にするとは思いもしませんでした。カビを覚悟で先日久しぶりにケースから引っ張り出したら、なんとレンズには曇りひとつありません。ニッコールがすばらしいのかケースが余程密閉されていたのか、少し感動ものでした。ちょうどその頃買ったリバーサルとパンクロームのフィルムが残っていたので(!)、どんな写真が撮れるか今試しているところです。久しぶりに外界の空気に触れてカメラもびっくりしてるでしょうし、リハビリを兼ねてのんびり撮るつもりです。もちろん私自身のリハビリも。
2010/11/13
2010/11/11
HASSELBLAD POLAROID 100
ハッセル用のポラロイドフィルムバックです。ポラバック100、ポラロイド100(Polaroid 100)、どっちがほんとの製品名か知らんのですが、ハッセルのアクセサリにはこれと80用の2タイプあります。80はフィルムが製造中止なので、今はこっちの100用しか使い物になりません。80/100兼用のポラコンビというフィルムバックもあります。
この先まかり間違って80フィルムが復活したらと思うと、投売り状態の80用ポラバックも手に入れておいた方がワクワク感は楽しめるかも。
で、現在は富士フィルムのフォトラマFP-100(カラー)かFP-3000(白黒)しか一般には入手出来ないインスタントフィルム*ですが、このポラバックにセットして使う方法が良くわからない。フィルム買っても説明書は入ってないし、ハッセル純正のこのポラバックの取説にもロクな絵が載ってない。頼りになるのはネット情報と自分の想像力のみということで、困ってる人も多いと思います。私も最初えらい悩みました。大抵は失敗してる人のブログしか見つからんし、きっちり説明してるサイトがなかなか見つからない。
無ければ作りましょうということで、手順を作りました。初めて使ってみたポラバックですが、一応この流れで成功したので、多分合ってるんでしょう。もし違ってたらコメントよろしくです。
* 他にIMPOSSIBLEが販売してるポラ互換フィルムもありますが、安定供給という意味ではどうかなー。
0. 必要なもの
- ポラバック(ポラロイド100)・・・¥結構高い
- カメラとレンズ・・・¥とっても高い
- 富士フィルム フォトラマ 10枚撮り FP-100またはFP-3000・・・¥2,000前後(FP-3000は¥1,600くらい)
- 温度計(室温を計る)・・・出来れば正確なもの
- 時計(現像時間を計る)・・・出来れば秒針のあるもの
- あくなき探究心と経済力・・・一番難しいかも
1. 開封
FP-100の箱を開けると、遮光用の銀色の袋に包まれたこのカートリッジが入っています。袋を開ける時に、現像液や印画紙を押しつぶさないようにカートリッジの両脇を持ちます。つぶしちゃあかんよ的な絵がカートリッジに描いてありますが、これは外箱にでっかく描くべきでしょう。まずここからして不親切だな富士フィルム。
2. 装填
みんな一番悩まされるのが、このベロです。黒いベロと白いベロ。なんでお前は白と黒なの、出たいの引っ込みたいの、どっちなの、とあれこれ考えても、どこにも書いてません。
でも、何も考えることはありません。このままカポっとポラバックに入れればいいんです。装填前には必ずポラバックに遮光板を付けておくのを忘れずに。
そしてこのまま蓋を閉めるだけ。
装填出来たところ。こんな感じに白ベロも黒ベロも出ています。よく黒ベロを隣の細いスリットを通して出そうとして失敗してる人が多いようです。この時、白ベロが丸まってポラバックの中に挟まれてることもあるので、そこは気をつけてください。
3. 撮影準備
次は撮影するための準備です。装填しただけだと撮れません。
それは、この黒ベロを引き抜くのです。抜くにはちょっときついし、長いので、初めて使う人は、これ抜いてしまってえらいことになるんじゃないか、とドキドキしますが安心して抜いて下さい。すると、「1」と書かれた白い紙が出て来ます。これが1枚目ですよ、という印。
もう分かったと思いますが、この黒い紙は遮光用の紙で、引き抜くとフィルムの感光面が露光窓のガラスの向こうに登場しているわけです。なので、この作業の前にポラバックに遮光板が付いてないとフィルムがパーになってしまいます。
これで撮影準備が出来ました。普通の120/220フィルムの撮影と同じく、ポラバックの遮光板を引き抜いて撮影して下さい。
4. 現像
撮影したら、「1」という白い紙をペリっと引き抜いてください。すると「2」という紙と、隣の細いスリットから別の白いベロが出て来ます。これが撮影済みの印画紙を引っ張り出すベロです。このベロを、極めて一定の速度で、速くもなく遅くもなくヌーっと引いて、印画紙を引っ張り出してください。
スタジオカメラマンっぽくバリっ!と大げさに引き抜きたい人はどうぞやってみてください。私は現像液が飛び散って悲惨なことになるんじゃないかと、怖くて出来ません。また、この引っ張り方は人それぞれ意見があるようで、ヌーでなくシャッとやった方がいいとか色々言われてますが、心情的には一定速度のヌーがいいかなーと思ってます。
放置プレー。印画紙をヌーっと引き抜いてから指定された時間だけ放って置きます。放置時間は印画紙のタブのところに書いてあります。フィルムの外箱にも書いてあります。周囲の温度によって時間が違うので、撮影前に温度計で室温を測っておく必要があります。また待ってる間、ブリンブリン振り回したり手で暖めたりしたら発色傾向の参考にならなくなるので、やめといた方がいいです。
指定時間が経ったら印画紙をペリペリペリとはがして出来上がり。乳剤がフチにたまってるので印画紙につかないように気を付けてください。
あんまりいいサンプルではなかったですが、蛍光灯の室内で絞り2.8、シャッター1/4秒、室温18度、現像3分だとこんな発色でした。このFP-100は長時間露光対応と箱に書いてあるので、シャッター速度と現像時間を調整すれば、もう少しまともな発色が得られるんではないかと思います。
そうそう、1枚目の印画紙を引っこ抜いた今の状態は、すでに2枚目の印画紙が遮光板の向こうでスタンばってるわけで、プラスチッキーなポラバック100ではいくら遮光板をしていても光線漏れが心配です。早めに10枚使い切るようにしましょう。
2010/11/10
Sky is like a deep sea
Sky is like a deep sea
HASSELBLAD 500C/M, Planar C 80mm/f2.8
Kodak Ektar 100
Ektarのせいかバル切れとコーティングはがれのせいか、いい色になった。
夕焼け空だが、宇宙から見た地球のようである。無限遠が怪しいのは、レンズを分解・組み上げた時にヘリコイドのねじ込み位置を間違えたせいである。帰宅後にもう一度組み直してそこは直した。今度はシャッターブレードにオイルが沁み出し、時々完全に閉じなくなった。Cレンズは常にレストアしながら付き合っていかなければならないが、そこも含めて楽しみと思えれば立派なハッセル狂いである。
Rib Sky
Rib Sky
HASSELBLAD 500C/M, Planar C 80mm/f2.8
Kodak Ektar 100
あばら骨のような秋空。
ボロボロの銀Planar C 80mm (T*なし)を使って初めて撮影した日。
このレンズは、「バル切れのジャンクだよ」と言われて格安で買った(と言っても1万円以上)、初めてのハッセルレンズ。まずボディを買って次はレンズと思ったらすぐにこれを見つけたので、良くわからないまま買ってしまったが、家に帰って調べたら、まずシャッターが切れない。1万以上で使い物にならないものを売るのがハッセルの世界かと、中古カメラ業界を呪ったが、くやしいので分解して自力で直した。
幸い内部部品の欠落や破損はなかったようで、分解清掃でなんとかなった。もう限界に近いほどバルサム切れが進行していたが、それでも多少のフレアと色合いの乱れ程度で、シャッター・絞りは正常に動いているようだ。ちなみにこれはT*なし銀プラだが5枚羽根である。それでも絞りの形はゆるやかな円形に近く見え、これなら6枚でなくても良いと思う。色が微妙に乱れるところも味として楽しめる。
それにしても、何十年も昔のレンズが今でもまともに動き出すところに感動した。ボロボロではあるが、初めて買ったハッセルレンズで、ハッセルとは何かをいきなり教えてくれた。後にCF80mmも買ったが、写りがどうであっても、これはちょっと手放す気にはならない。
HASSELBLAD 500C/M, Distagon C50mm/f4 T*
突然ですが、これ買いました。
素人が手を出すと身の破滅とも言われる(か?)、ハッセルブラッドです。
flickrでローライフレックスの写真に魅せられてしまい、昔Seagullでちょこっと中判撮ってみたこともあって、また6x6撮りたいなー、なんて思ってしまったのが運の尽きでした。
ホントにこれ金食い虫です。中古ボディの値段は最近随分下がって来ており、一番ポピュラーな500CかC/Mならレンズ無しで程度そこそこで良ければ2万円出さなくても手に入ります。私が買ったのも、パルパスやシャッター幕はピカピカの綺麗な80年代製の個体で、マガジンと、しかもプリズムファインダーPME-51付きで4万円少々。PME-51の中古単体だけでも4、5万円位してるので、これはラッキーだったです。
しかーし、レンズが高い。500xはフォーカルプレーンではないので、ボディなんていわばただの箱、大事なのはレンズというわけです。しかも、ハッセル病というのがあるかわからんですが、500xはすでに現行機ではないという焦燥感なのか、手に入るアクセサリーは見付けたら片っ端から買っておかねばみたいな欲望がムズムズと湧いてきます。
これまでに手に入れたものを掲げるので、長文覚悟でアホの様子を見たって下さい。まずはボディ関係。★マークは国内正規代理店販売品(シュリロ・トレーディング)の意味です。
- 500C/M★ボディ
- これを手にした日から金が湯水のように出て行く。
- PME-51 アイレベルプリズムファインダー
- アキュートマット付きで非常に見やすい。露出計も助かる。が重い。
- ファインダーカバー(底面用)
- Vマーク入りのただのプラスチックの板。プリズムファインダーの底がぽっかり開いた状態で保存するのは、プリズムガラスに傷がつきそうで精神衛生上よろしくないのをなんとかするためのパーツ。ひょっとするとシュリロから¥800位で入手出来るのかもしれないが、ヤフオクでは常に¥2,000以上で落札されているので、今は売ってないものなのかも。と信じて¥2,211で落札。だけどやっぱりこんなもの多分自分で作れる程度のもの。
- フィルムマガジン(A-12★ x 2個、A-12★無し x 1個、A-24★無し x 1個)
- ボディに付いて来たのが相当古い★無しだったので、予備も兼ねて買い足していく。中野のあの店で綺麗な★付きが買えたので追加はしばらく休み。120だとどうしてもフィルム換装が面倒なので220用のA-24も欲しいが、24枚撮りフィルムのお徳感がまったくないのでA-12でいいか。と思ったがやっぱり24枚用も持っておこうとキタムラで購入。キタムラは時々びっくりするような破格でハッセル品を出すので要注意。
- ウェストレベルファインダー(新型、旧型各1個)
- ボディにはPME-51が付いてたがこれが無かったので追加。ボディをヤフオクで落札した日に合わせて美品の落札を狙うも、こんなペラペラのパーツが8千円超えにビビり競り負け。後から考えるとそれは破格だったのを悔やむ。後日新型を1万以上で落札。後日旧型美品も¥9,000ほどで落札。これは安かった。なんで2個か?予備ですよ予備。
- 巻き上げクランク(レバー付き、レバー無し各1個)
- 写真の旧タイプのレバー付きを新宿のあの2階の店で入手。無傷の美品。こんなのが5千円かと2日通ってしぶしぶ購入も、やはりこれも相場よりかなり安かった。
- 後にレバーの無い丸いだけのものを新宿のあの地下の店のショーケースの隅に埋もれてたのを発掘し回収。オリジナルのケース付きで¥2,000だったのは驚き。
- 露出計内蔵巻上げノブ
- セレン式メーター内蔵。反射/入射両用。正確じゃないが目安にはなるので、あると便利。馬鹿にされるだろうがほとんど反射で使ってても結構なんとかなる。これ買ってからPME-51と巻き上げクランク類はほとんど出番なし。
- 旧標準スクリーン
- アキュートのスプリットはプリズムビューでは便利だがウェストレベルでは見づらくて仕方ない。昔の標準スクリーンが1千円で新宿にあったので買ってみたが、これも暗くて使う気がしない。やっぱアキュートDのグリッドが欲しい。
- 純正ポラロイドバック 100
- ライティング・テストや仕上がりのプレビューの意味で使うのが本来の使い道だが、持ってると楽しそうだったので購入。でもフィルムは一般には10枚で2千円もするフジのフォトラマしか入手出来ないので、おいそれとは使えない。
- 純正よりも、npcやARCA-SWISSのが安いし、ARCA-SWISSはガラス板が無い分クリアな気もするが、ポラの液漏れでシャッター幕が大変な事になるのが怖くて純正にした。多分そういったボディー保護の目的であのガラスは付いてんだと思う。幕は命です。
- 中古でも¥10,000以上しているが、たまたまヤフオクで即決¥6,000だったので即決断。しかし後日ジャンク¥1,000を見つけ、なんだかなぁと思いつつそれも回収。勿論使用に問題なし。
- ボディのバックカバー
- マガジンはずした状態では、これ無いと怖くて置いておけない。改めて幕は命です。
- ストラップ
- アクセサリでこれが一番悩んだ。評判の良いOP/TECHスーパープロを買ってみたが、金具の抜け留めのプラスチックが引き蓋やマガジンのクランクにゴリゴリ当たるのが気に入らず、アルチザンのに変える。
- アルチザンACAM-505はしっかりした作りで気に入ってたが、なんと、こともあろうに撮影中に金具がはずれた。左手でボディ構えてる状態だったので落下はしなかったが、背筋が凍った。別に不良品だったわけでなく、使ってるうちに自然に取れてしまった。このタイプの金具はハッセル標準品もそうだが抜け留めがなく、はずれても不思議じゃない。一応マップカメラに文句を言いに行って返品交換してはみたが、金具はまったく同じものだし、そのまま使うのは不安で仕方ないのでOP/TECHのパーツを参考にして金具のベロが浮き上がらないように固定するパーツを塩ビで自作。以降問題なし。でもこのタイプの金具っていい加減な構造だと思う。ボディとレンズをアスファルトに落としたら、泣いても泣ききれんでしょう。何故ハッセル社は何十年も売り続けてて、絶対はずれない金具を作ろうとしないのか。
と、ボディ周りはこんな感じです。おそろしい。今改めて電卓叩いたら大変なことになってました。本当にとりつかれたように揃えてしまった。
続いてレンズも書こうと思ったけど、ドキドキしてしまったので、それは後日にします。みなさんもハッセルに手を出す時は気をつけて。くれぐれも相場より安いものを見つけたからって色々買いまくらないでください。万単位のものをこれは安い!と思った時は感覚が麻痺してます。Canon EOS 5Dでも買った方がよっぽどまともな写真人生を送れます。
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