今日の物欲大魔王は毛色が変わって万年筆。
ドイツ・ハノーバー家を発祥とする、ペリカンのM600シリーズ、ピカデリー・サーカスM620です。
ペリカンはいくつか世界の史跡シリーズを出してますが、中でも比較的手頃な価格で、市販で出回っているのがこのモデルです。最初はコンコルドが良かったのですが、もう入手困難なのと、同デザインのボールポイントペンを見たらあまりパッとしなかったので、こちらにしました。
ピカデリーサーカスは、ロンドンの歓楽街のことです。簡単に言えばネオン街。新宿みたいなもんか。それよりは上品な感じはしますが行ったことないのでわかりません。
ペリカンの万年筆にはスーベレーンというスタンダード且つ王道のモデルがあります。しかしデザイン的にはあまり変わったところは無く、装飾が無くむしろあっさりしすぎて、またセルロイド感が好きになれませんでした。しかし書き味は抜群で、すべるようなペン先と適度に湧き出るインクの量が書き手になんとも言えない満足感を与えます。
最初にペリカンを体験したのは、M400ホワイトトートイズというモデルで、小振りな軸なのに持ちやすく、初めて味わう書き味にとても驚きました。今まで使っていたLAMYやCartierが急におもちゃのように思え、それ以来、いつかペリカンが欲しいと思いながら、なかなか買う機会がなかったのですが、先日アメ横に行く機会があり、そこで目にしたピカデリーサーカスを発作的に買ってしまった次第です。
購入時のことを少しお話しします。
私は、アメ横には、バッタ物や2級品をつかまされるのではないか、という先入観を持っています。これを買う時も心の片隅に中古や傷ものを売られるのでは、という不安が少なからずありました。確かに市価よりはるかに安く、まともに伊東屋や丸善で買うのがアホらしくなる値段です(楽天のどのペンショップよりも安かったです)。この安さがそう思わせるのかもしれません。アメ横には見ただけで4店舗にピカデリーサーカスが置いてありましたが、面白いのは、どの店もペンをぞんざいに扱うことです(面白くない!)。ある店ははずしたキャップを軸尻にギリギリ押し込んで見せたり、ある店はガラスのショーケースの上にガチガチ置いたり。買う方は気が気じゃありません。伊東屋でビロードのトレーに白い手袋で爆発物処理班のようにそ~っと置いてくれるのをイメージしてアメ横に行くと購買意欲が一気に失せます。
まず各店を回ってこのカルチャーショックを受けてから、思い直して一番安い店に行きました。結局伊東屋で買おうがここで買おうが、物さえ間違いなければ安い方が得と考えることにしたのです。その日で一番安かったのは美都商事です。今は知りません。ペン先はFを希望したのですが、店頭には無く、倉庫を見てくると言って待たされて15分ほど後、帰って来たおじさんはおもむろに他のペンのFのペン先をはずし、ピカデリーサーカスにつけました(結局メーカー出荷時からFの付いているピカデリーサーカスはこの店に無かった)。付け替えたペンも同じパーツを使っているのでFになった事に間違いは無いが、これもショックでした。しかしこの店は試し書きをさせてくれたので、書き味を確認して買うことができました。もっとも私がここで買わなければ、私が一度使った使用済みの商品を後で誰かが買うはめになるのですが。ペン先をはずしたペンは新品の包みを開封していたので、そのペン先は新品だったのが救いです。
正直、なぜこんなラフな対応の店で買ったかと言うと、ピカデリーサーカスは軸、キャップの模様が一本一本異なるからです。ピンク、ブルー、グレーのマーブル柄はペン毎に色々な表情をしており、一見して好き嫌いが出てしまいます。他店舗の模様はグレーが多すぎたり、キャップの色が薄すぎたりと、なかなか好みの柄が無かったのですが、美都商事の柄は一目で気に入りました。それでペン先の交換には目をつぶり購入に至った次第です。ペリカンの万年筆はもともと簡単にペン先が交換できるようネジ込み構造になっていることもあり、交換という行為にそんなに神経質にならなくても良いんでは、と思ったからです。しかし二度とアメ横で万年筆は買わないでしょう(同店を批判するわけではありません。これがアメ横Wayであり、嫌なら買わなければいいんです)。
書き始めはインクの出方が安定しませんでしたが、今は馴染んで来てとても満足しています。模様の美しさからラフに扱えず、かえってガシガシ書くペンとしての役割をあまり果たせていませんが、もう少し使い込んでいけたら手放せない物になって来ると思います。
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