さて、YAMAHA Classic Guitar G-120です。ちょっと長文になります。
G-120は1967年(昭和42年)8月発売開始、1976年11月まで販売されていたGシリーズの中堅モデルで、発売当時の価格が13,000円です。入門機のG-50が5,500円、最高機種のG-350が35,000円なので、比較的良いモデルだったと言えます。1967年の大卒初任給が26,000円、たばこが30円程度ですから、今の物価に直すと120,000円以上することになりますね。ただし、現在のオークション等の中古取引価格は3,000円位なので、製品自体の良さよりも、楽器というものが高価な時代だったのかもしれません。
これは粗大ゴミを回収してきたもので、かれこれ20年近くの付き合いになります。今の粗大ゴミは有料でリサイクル法などもうるさいので、金を払って捨てるよりはハードオフなどに持って行ってしまうので、こういうめぐり合いは望めませんが、昔は何でも捨てられており、バブリーな時代でした。
これまで大きなトラブルは発生していません。唯一、オリジナルのペグがクロームメッキのものだったのですが、メッキが腐食してきてザラザラになったので、GOTOHのゴールドクロームに替える予定です。低音弦側のペグがはずしてあるのはそのためです。
まずはスペックを書いておきます。
弦長: 658mm
表板: 松
裏板: マホガニー
側板: マホガニー
棹: マホガニー
指板: ローズウッド
下駒: ローズウッド
今回は外観を見てみます。
Gシリーズだからかどうかわかりませんが、普通の材が使われていますね。トップの松は、センターの2枚合わせで非常に目が揃っています。サウンドホールのプリントもきれいですね。ネックのマホガニーがスカスカで、持つと軽くて情けなくなります。塗装は多分ラッカーだと思いますが、ひょっとするとただのニスかもしれません。塗り方にムラがあり、板のペコペコさも相まって、安さ感が滲みでます。
バインディングは黒のプラスチックで、側板との境目で塗装が浮いて割れてきています。この辺がさらに悲壮感漂うところです。私は塗装にはあまりこだわりが無い方なんですが、どちらかと言うとラッカーよりはウレタンのプリっとした感じが好きです。塗装の議論になると宗教戦争のようになってしまいますが、材の違いほど音の違いが出るものでも無いと思っており、何より時代時代で適切な保存と効果のある塗料が使われれば、あとは見た目が気に入れば構わないと納得しています。
ブリッジも浮くことなく密着しています。指板と同じローズウッドが使われており、芸の無さが滲み出ていますが、20年間弦を替えることなく張りっぱなしでいたのにまったく浮くこともなく、しっかりと着いていたのはヤマハの底力を感じさせます。ナイロン弦だからですが。
ネックは側板、裏板と同じマホガニー、指板はブリッジと同じローズウッドで、ネックはほとんど反っていません。弦をゆるめず20年間放置してもなんともなかったというだけで、とりあえず褒めてあげようと思います。ナイロン弦だからですが。
この個体の製造は、シリアルから見ておそらく1970年と思われます。37歳を迎え、乾ききっています。パサパサです。指板はかすれ、バックは傷つき、久々に押入れから取り出して弾いたらショートディレイをかけたように音が2重になって聞こえたのですが、フレットをピカールで磨き、レモンオイルでボディ全体をワクシングし、ボディ内部の埃を払ったら鳴るようになりました。Squierのストラトを磨き直したらおそろしく鳴り始めたのと一緒で、楽器というのは手入れがとても大事なのですね。安いからと放置したりせず、心を込めて磨いてあげれば、素性の良いものはきちんと鳴ってくれるのです。単なる思い込みかもしれませんが・・・